事々拔書 [写本] (ことごとぬきがき)

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概要・解説文

『事々抜書(ことごと・ぬきがき)』「東恩納文庫本(ひがしおんな・ぶんこぼん)」 筆写本(ひっしゃぼん) 解説

 この文書は、琉球王国の歴史・行政組織や林業・農業などの産業の状況をはじめ、首里王府が把握している国内の状況について、首里王府がまとめた本です。現在の「国勢要覧(こくせい・ようらん)」にあたるものといわれます。
 この本には、作成された年記が見当たりませんが、冒頭の章である「御代記之事」(=代々の琉球国王の略歴を記した部分)に、尚育王(しょう・いく・おう)の没年(1847年)の記述があり、琉球王国最後の王である尚泰(しょう・たい)については記述がみられないので、尚泰時代(1848~1879)のものとわかります。
 またこの本には表紙が欠落していますが、用紙の様子や書式などから、琉球王国時代に筆写され実際に使用された本とみられます。こうした本が琉球王国時代には必要上、数多く筆写されたことと考えられますが、他に同様の本は現存しないようです。その意味で、この本は首里王府によって実際に使用されていた原写本(げん・しゃほん)としてかけがえのない貴重史料と見られます。
 
 内容をみていくと、天孫氏(てんそんし)王統から、第二尚氏(だいにしょうし)王統の尚育王(しょう・いく・おう)までの各王の生没・即位年を略記した「御代記之事(みよきのこと)」をはじめ、全部で17項目から成り立っています。とくに、首里王府の中央行政機構の具体的な状況や、各地域の役人の配置、杣山(そまやま=木材を伐採する山)や農作物の耕地面積などについては非常に詳細に記述されています。また、納税のための基礎資料となる各地域の木材・農作物・貢納布(こうのうふ)などの生産高についても詳細に記録しています。
 こうした「国勢要覧」は首里王府や各地方の役人が閲覧(えつらん)・使用したほか、政治的な影響力を及ぼしていた薩摩藩の人々らが閲覧・使用していたものと考えられます。

(鶴田大)

参考文献・調査ノート

(参考文献)
『沖縄大百科事典』(沖縄タイムス社 1981年刊)
※項目「事々抜書」は挙げられていない。琉球王国の社会・経済・外交状況については項目「琉球王国」「貢布(こうふ)」「石高(こくだか)」「仕上世(しのぼせ≒貢米)」などを参照。
『宝庫からのメッセージ〜琉球・沖縄の貴重資料』(琉球大学附属図書館、沖縄県立図書館、沖縄県立博物館・美術館 編 2010年刊)
 ※『事々抜書』「東恩納文庫本」について豊見山和行氏の解説あり。
ほか

(鶴田大)
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