平敷屋朝敏 著作物語集 [写本] (へしきやちょうびん ちょさくものがたりしゅう)

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概要・解説文

『平敷屋朝敏 著作物語集(へしきや・ちょうびん・ちょさく・ものがたりしゅう)』 平敷屋朝敏(へしきや・ちょうびん) 著 筆写本(ひっしゃぼん) 全一冊 解説

 この本(以下、「物語集」)は琉球王国の政治家・文人である平敷屋朝敏(1700~1734)が著作した物語を集成して筆写した本です。朝敏自筆の本は現存しておらず、この県立図書館の筆写本が最も充実した内容(≒原本に近い内容)を保っていると考えられています。明治24年(1891)にこの本を筆記したのは政治家として活躍した護得久朝惟(ごえく・ちょうい)です。

 平敷屋朝敏は和文学(≒大和文化圏の文学)を得意とする文人で、その著作はこの「物語集」によってよく知られます。「物語集」には「若草(わかくさ)」、「苔の下(こけのした)」、「万歳(まんざい)」、「貧家記(ひんか・き)」の四編の物語が収録されています。「若草」「苔の下」「万歳」はお互いに好きなのに当時の社会や家の状況によって決して結ばれることのない男女が絶望のあまり命を絶つというような筋書きの悲恋の物語です。「貧家記」は朝敏自身が訳あって首里に居られなくなり、領地である勝連の平敷屋にしばらく滞在した、という史実を下敷きにした物語とされています。

 琉球の文人は漢文と和文(≒漢字仮名交じり文)のどちらも習得していましたが、この本は和文の中でも「擬古文(ぎ・こぶん)」と呼ばれる平安時代文学にならった文体で書かれています。和文が、漢文と並んで、日本で初めて公的な文章として認められたのは『古今和歌集』(905年成立)以降なので、以降の文学は平安時代の文体を規範としたのです。琉球王国でも和文学を学ぶ際には平安時代の古今和歌集、伊勢物語、源氏物語が中心となりました。特に朝敏の作品は伊勢物語の影響が深いと言われています。平安時代の物語の代表として並べられることの多い源氏物語と伊勢物語ですが、物語の性格や内容は実は対照的です。人間の心理を情景描写や複雑な人間関係を通して詳細に描く長編・源氏物語に対し、伊勢物語は和歌や俳句のように簡潔に人情や風景の機微(きび)を描く短編集です。近代・現代文学の先駆として高い評価を受ける源氏物語に対して、伊勢物語は省略・象徴性により深い情感に到達する「日本的」な表現と言えるかもしれません。また王権や権力の地獄を描きながら、それに寄り添いつづける源氏物語に対し、伊勢物語は反権力やアウトサイダー的な気分を持つ文学となっています。

 伊勢物語を深く愛した朝敏は、伊勢物語の文体に深い影響を受けながら、独自のゆったりとした気分を漂わせる文体を持つ著作を発表しますが、伊勢物語と通じる性格を本来的に持っていたのか、「平敷屋・友寄(ともよせ)事件」により、安謝(あじゃ)の刑場で処刑されます。首里王府を批判する言動を行った事件とみられていますが、現在も真相は不明です。
 同じ擬古文の文学である『思出草(おもいでぐさ)』(1699~1700年成立)を著作した識名盛命(しきな・せいめい)は、平安文学に用いられる雅語(がご)を自在に駆使し、すぐれた和歌(≒現在の短歌の原型)をちりばめたその文章により、琉球の最古で最高の擬古文の文学と評価されています。しかしながら一方で、社会通念・常識に対して疑問を投げかけるのがすぐれた文学の一面であるとすれば、朝敏の著作は恋愛や貧困などをモチーフに社会規範に問題提起をしており、その意味でも優れた文学であるといえます。盛命らと共に擬古文の琉球文学史の流れを作った一人と言えるでしょう。

(鶴田大)

参考文献・調査ノート

(参考文献)
『沖縄大百科事典』(沖縄タイムス社 1981年)※項目「平敷屋朝敏」「平敷屋・友寄事件」「若草」「苔の下」「万歳」「貧家記」「手水の縁」「護得久朝惟」「識名盛命」ほか参照。
『近世沖縄の肖像』(上・下)(池宮正治 著 ひるぎ社 おきなわ文庫 1982年)
 ※上巻に平敷屋朝敏の伝記が掲載されている。
「テキスト・翻刻・訳注 平敷屋朝敏物語」(仲原裕 編 1994年)
 ※県立図書館の『平敷屋朝敏著作物語』を元に、活字化、訳注をほどこしている。
「校異 平敷屋朝敏著作物語』(関根賢司  勝因女子短期大学紀要 「文化研究」11 1997年刊)
 ※県立図書館の『平敷屋朝敏著作物語』を底本(ていほん)として他に伝わる筆写本と記述内容を比較しながら全文を活字化している。他に伝わる筆写本についても所在や特徴を詳述している。

ほか

○調査ノート
・朝惟は政治家・経済人としての活躍でよく知られる人物で、文学的な活動は現在のところあまり知られていません。しかし朝惟の父・朝常は琉球王国末期の最大の政治家・文人である宜湾朝保(ぎわん・ちょうほ)の流れをくむ文人ですから、こうした琉球王国時代の文芸作品を筆写しているところをみると、やはり文学的な志を持つ人物だったかも知れません。
・朝敏は、組踊(≒琉球独自の歌舞劇で、元々、中国からの外交使節を歓待するために創作された)の演目の一つである『手水の縁(てみずのえん)』の著者とも伝えられています。『手水の縁』は勧善懲悪的な物語が多い組踊の中では異色の「反体制的」な恋愛物語です。「反体制的」というのは、穏健(おんけん)な社会通念に対して新しい価値観を示す、という意味です。

(鶴田大)
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