無人島へ漂流の者口書 (むじんとうえひょうりゅうのものくちがき)

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概要・解説文

 本資料は1719(享保4)年、静岡県新居(あらい)を出航した船が千葉県九十九里浜沖で嵐に巻き込まれ、伊豆諸島最南端の無人島である鳥島(とりしま)へ漂着した史実について書いてある本です。通常、「遠州船(えんしゅう・せん)無人島物語」として知られている本です。遠州とは現在の静岡県西部で、新居のある遠江国(とおとうみのくに)のことです。少しづつ内容の異なる多くの筆写本が知られていて、この本もそうした筆写本の一つです。
 鳥島〔※八丈島の南約300㎞〕へ漂着した船頭(せんどう)の左太夫(さだゆう)以下12名の船員は無人島である鳥島で自給自足の生活を送りました。3年ほどは全員生存していましたが、やがて次々と亡くなっていき10年ほどの間には3名が生き残るのみとなりました。やがて漂着生活が19年以上になった頃、江戸を出発してやはり悪天候のために流されて鳥島に漂着した船に助けられ、3名は八丈島を経て、江戸へ帰り着きました。1739(元文4)年のことです。帰り着いた舵取(かじとり)の甚八(じんぱち)は67才に、水主(かこ)の仁三郎(じんさぶろう)は61才に、同じく水主の平三郎は42才になっていました。3名は八丈島の役場で取り調べを受け、江戸へ帰ってからも代官所や奉行所などで取り調べを受けて調書が作成されました。それらの調書の内容を密かに入手した人が内容を整理して書き直し、それが次々と書き写され多くの人に読まれました。本資料もそうした写本の一冊とみられます。
 漂流・漂着は江戸時代を通して数多くありましたが、約20年にも渡る無人島生活物語は想像を絶する事件でしたから多くの人の関心を集め、将軍吉宗が江戸城で3名に会って話を聞くということまでになりました。将軍の謁見は異例のことだったので、この事件はさらに大評判となり芝居にもなったと伝えられています。 

 漂流・漂着者は「鎖国」と呼ばれる閉鎖的な社会体制を取っていた江戸幕府日本にとって警戒や取り締まりの対象でした。禁止しているキリスト教圏の船に接触する可能性などがあったためです。同時に未知の世界を見てきた漂流者の話は重要な情報でもあり、心ひかれる物語でもありました。
 琉球船が江戸時代日本に漂着したという記録も数多く残されています。高知県の大島湾に琉球船が漂着した際の土佐藩の記録『大島筆記』などは特によく知られています。本資料の旧蔵者である歴史家・真境名安興(まじきな・あんこう)もまた、漂流・漂着物語に関心を寄せ、こうした写本を所蔵していたのでしょう。 
(鶴田 大)

詳細解説文

 本資料がいつ頃の写本であるか不明ですが、およそ幕末期頃かとみられます。
 また、国立国会図書館本との本文比較においては、かなり簡略化されている箇所が目に付き、同系統本の抄写本であるか、または別系統本という印象がつよいものです。所々にみられる語句の簡略化もありますが、大幅に異なるのは下記の重要な記述部分が無いという点です。

1.    冒頭の内題 ・・・「元文四年未年五月無人嶋より弐拾一ヶ年目に帰来り候、遠州荒井の者、吹上上覧所江被召出、嶋々様子等段々御尋の事」
2.    本文末尾部分・・・将軍謁見後の後日談として、3名が無人島で作って持ち帰った「もみ米」を将軍家へ献上した件、3名とも故郷へ戻って扶持(ふち)を得て隠居として晩年を平穏に送り、1名は近年まで生きていて周囲の者へ無人島の話や将軍家への感謝を話していた件などの話題。
3.    末尾の識語(しきご)・・・「此書は八丈嶋其頃、齋藤喜六郎殿支配にて有之、依て書役のものより、言上書扣を密にかり求め、又奉行の書役の方、吹上にて右のものとも御答書、彼是三方を引合、聊も相違無之様、遂吟味認候ものなり。 無人嶋物語畢ぬ。 元文四未年五月の事なり。」

 特に第3点の「識語」については、この写本の元となった本を匿名の編者がどのようにして作成したかを物語るものであり、重要な欠落とみられます。或いは第2点の後日談の部分が欠落していることを重視するなら、本資料は国立国会図書館本の編者のものとは別系統であり、題名通り、単純に幕府機関の調書のみを書写した系統の写本の一つとも考えられます。
(鶴田 大)
 

参考文献・調査ノート

(参考文献)
・『国史大辞典』(全15巻 吉川弘文館 1997年刊)
 ※「漂流」「海難」「通航一覧」ほか各項目参照。
・「遠州船無人島物語」(『日本庶民生活史料集成 第五巻』所収。 三一書房 1968年刊)
 ※本資料と同じ史実に関する同系統の写本(国立国会図書館本)を活字化して、解説を付けている。本資料との相違については「詳細解説文」参照。
・『校訂 漂流奇譚全集』(石井研堂・校訂 博文館 1900年刊)
 ※本資料と同じ史実に関する写本を含む石井研堂本「漂流奇譚全集」を活字化したもの。国立国会図書館本と同系統とみられる。
・『通航一覧(つうこういちらん)』(江戸幕府・編 国書刊行会 1913年刊)
 ※江戸幕府による対外交渉関係の史料集成(1850年成立)である『通航一覧』を活字化したもの。16~19世紀に至る膨大な史料の集成で、漂流・漂着史料もかなりの部分を占める。原本の一部は火災などで失われている。
・『通航一覧 続輯(ぞくしゅう)』(江戸幕府・編 清文堂出版 1967年刊)
 ※上記の史料の続編として1856年頃成立した『通航一覧 続輯』を活字化したもの。
・『日本漂流漂着史料』(荒川秀俊・編 気象研究所 1962年刊)
 ※西暦2世紀~19世紀にいたる東アジアの漂流・漂着の記録史料を抜粋して活字化し、解説を付けている。漂流・漂着という事象についての解説や参考文献を詳しく掲載している。

 (調査ノート)
・歴史家・真境名安興の旧蔵書だが、『真境名安興全集』などに本資料に関する記述はみえない。琉球王国とは直接関係の無い史料だが、琉球王国史において重要な一分野である漂流・漂着史料の一つとして収集した可能性が高い。
・表紙にある朱線の書き入れ「尚敬王二十七」「(一七三九)」は真境名安興による書き入れとみられる。
・本文中には朱線による書き込みなどは無い。
・本文中にはところどころ、墨線による振り仮名がみられるが、本文筆写当初のものか書き入れか詳細不明。
・末尾の「右之通御座候 元文四己未年(つちのとひつじのとし)六月」という記述は同年五月を誤写したとみられる。文脈としては調書の日付ということで記述しているのだから、やはり五月と考えざるをえない。
・ちなみに「諸資料を照合して精確を期して編集した」という旨の識語がある国立国会図書館本には末尾に「元文四未年五月の事なり」とあるが、これは(編集された本が出来た年ではなく、)この事件があった時期のことを意味している。国立国会図書館本の本文末尾には「元文四年五月に無人島から江戸へ帰還した」船員らのその後についても述べられており、「3名のうち、1名は近年まで生きていた」という記述があるので、元文4年から少なくとも数年以上経た頃に編集作成されたということがわかる。
(鶴田 大)
しばらくお待ちください