弓張月 春廼宵栄 14編 (ゆみはりづき はるのゆうばえ)

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概要・解説文

『弓張月 春廼宵栄(ゆみはりづき はるのゆうばえ)』(12冊本=全24編中、第5、22~24編欠) 第8冊(第14編) 解説

 この本は琉球・沖縄と関係の深い「為朝(ためとも)伝説」を題材にした物語本です。源為朝(みなもとのためとも1139~1177)は平安時代(=天皇と公家(くげ)の時代)から鎌倉時代(将軍と武士の時代)への混乱期に人生を翻弄(ほんろう)された「悲劇の英雄」として源義経(よしつね1159~1189)と共によく知られる人物です。
 義経は初代の鎌倉将軍の源頼朝(よりとも)の弟として公家・平家勢力を倒して鎌倉幕府を成立させる中心となった武将でありながら、兄・頼朝により追放され東北で最期を遂げた「英雄」ですが、やがて伝説化され、北海道から大陸へ渡って「ジンギスカン」となり、大モンゴル帝国を作ったといわれるようになります。
 為朝は義経より少し前の人物で、弓の名手として知られた武将です。公家・平家の勢力に保元(ほうげん)の乱で敗れ、伊豆大島へ流され、そこで最期を迎えた「英雄」ですが、やがて伝説化され、実は生き延びて琉球へ渡り、その子・舜天(しゅんてん)がその後の琉球王国の祖となったといわれるようになります。

 琉球へ渡ったという「為朝伝説」はやがて琉球王国の正史(=公式の歴史書)である『中山世鑑(ちゅうざん・せかん 1650年)』以下でも積極的に「史実」としてとりあげられ、琉球に関する中国や当時の「日本」の文献にも広く取りあげられるようになります。
 この伝説が一般に広く知られるようになったのは曲亭馬琴(きょくてい・ばきん)作の物語『椿説弓張月(ちんせつ・ゆみはりづき)』(1811年刊)です。「椿説」(=珍説)は、不思議な伝説というほどの意味です。「弓張月」(=弓のような形をした半月(上弦・下弦の月)のこと)は、弓の名手・為朝を意味しています。戦さに破れて伊豆で亡くなったはずの為朝が南国・琉球で大活躍するこの物語は、江戸時代の最大のヒット作の一つです。定例行事として江戸を訪問した琉球使節が幕末へ向かうほど熱狂的に迎えられたのはこの物語の影響も大きかったこととみられます。
 この長編『椿説 弓張月』を元に、大幅に本文を簡略にして、すべての本文ページに挿絵を加えたのが、この『弓張月 春廼宵栄』です。この本によって「為朝伝説」はより多くの民衆に知られるようになったのです。
 これらの本は、様々な社会問題を抱えながらも平和だった江戸時代の人々に対し、常識や国境を悠々と越えてゆく英雄たちの物語として、雄大な気分を与えたのでしょう。物語として、勧善懲悪(かんぜん・ちょうあく)の構図や、武力への陶酔という限界は持ちながらも、戦闘シーン以上に人間や動物・怪物の自尊心や尊厳をくっきりと描き出しているところがこれらの本の魅力でしょう。

 第8冊では、前冊で、古代の琉球で山頂に封じ込まれた虬(みずち=龍に似た怪物)の塚から出現した怪人・曚雲(もううん)が国王の周囲に居た有力者や国王の一団を滅ぼし、自分が王座に就きます。琉球の平和を取り戻そうと曚雲に立ち向かう勇者らの活躍が始まりますが、曚雲の妖術の前には歯が立ちません。為朝の亡き妻・白縫(しらぬい)の霊が乗り移っていた琉球国王の王女・寧王女(ねい・わんにょ ※すでに命を落としていたが白縫の霊が乗り移っている)らは山中に隠れていましたが次第に危険が迫ります。

(鶴田大)

参考文献・調査ノート

(参考文献)
『沖縄大百科事典』(沖縄タイムス社 1981年刊)
『日本古典文学大事典』(岩波書店)
『異国征伐戦記の世界』(金時徳・著 笠間書院 2010年刊)
『椿説 弓張月』(平岩弓枝 訳・編 現代語訳・日本の古典20  1981年刊)
『椿説 弓張月』(上・下 岩波書店 日本古典文学大系60~61 1965年刊)
『椿説 弓張月』(三島由紀夫 1969年作 『三島由紀夫全集25』新潮社 2002年刊)
ほか

(調査ノート)
題名:『弓張月春廼宵栄(ゆみはりづき・はるのゆうばえ)』
(楽亭西馬 著、 仮名垣魯文 校、 歌川豊国 ・国輝・国光・芳虎 画)
全24編(※冊数は合本により揺れあり。) 嘉永四年~慶応4年(1851年~1867年)刊)
※題名は巻編により表記の揺れがある。一般には『弓張月 春廼宵栄(はるのゆうばえ)』というタイトルが採られる事が多い。他に『弓張月 春宵栄』など。

○『弓張月 春廼宵栄(ゆみはりづき はるのゆうばえ)』 各冊の収録巻編一覧
・第1冊   初編上・下、第2編上・下
  ※初編 上に著者である楽亭西馬の序文(嘉永4年)あり。以下、各編に序文(刊行年記入)。
・第2冊   第3編上・下、第4編上・下
・第3冊   第4編上・下、第5編上・下、第6編上・下
・第4冊   第6編上・下、第7編上・下
・第5冊   第7編上・下、第8編上・下
・第6冊   第9編上・下、第10編上・下
・第7冊   第11編上・下、第12編上・下
・第8冊   第13編上・下、
・第9冊   第14編上・下
・第10冊   第15編上・下、第16編上・下
・第11冊   第17編上・下、第18編上・下
・第12冊   第19編上・下、第20編上・下
・第13冊   第21編上・下

※第2冊(第3編、第4編)~第5冊(第7編、第8編)の間には第4、6、7編の重複があるが、これは当時の所蔵者の合本(がっぽん)の都合や、その後の所蔵者の収集の過程を反映している。合本(がっぽん)は通常、当時の本の購入者が、ある程度、巻編がまとまった時点で製本業者に依頼して行っていた。その後の所蔵者は合本された本を収集したため、巻編の重複が生じたというわけである。

○為朝伝説をもとにした曲亭馬琴(きょくてい・ばきん)の読本『椿説・弓張月』(全28巻 29冊 文化4~8年(1807~1811) 刊)をさらに、幕末に楽亭西馬(らくてい・さいば)が著作した読み本。ただし馬琴の原文をそのまま用いている箇所も多く、本には「西馬 訳」と記されている。全24編。内容はほぼ同じで、文章を簡潔にして挿絵を増やすなど大衆化がなされている。幕末の嘉永四年~慶応4年(1851年~1867年)刊行されたが、刊行中に著者の西馬が没した為、第21~24編は仮名垣魯文が補作・校訂を行って完成した。
 各冊の中扉に三代歌川豊国の錦絵(彩色浮世絵)が描かれ、本文中の挿絵(木版単色刷)も当時の代表的な歌川派の絵師らが描くなど独自の価値あり。

(※『椿説 弓張月』の内容は、平安時代の武将として名高い源為朝の琉球渡来伝説を扱ったもの。前半は史実に基づき、保元(ほうげん)の乱に破れた源為朝が伊豆へ逃れたという話が語られる。後半は伝説部分で、伊豆から琉球へ渡った為朝が当時、政治的に混乱が続いていた琉球で活躍し、やがて戦乱を終息させ、為朝の子が舜天王として、統一王朝である琉球王国を築くという物語。
 為朝伝説は当時の「日本」と琉球の深いつながりを強調するための好材料として17世紀以降の琉球王国の正史『中山世鑑(ちゅうざん・せいかん)』以下に多く登場する。当時の「日本」や清朝中国で刊行された琉球王国に関する記録・著述にもこの伝説が広く記されている。伝説が当時の「日本」で、一般に広く知られるようになるのに『椿説 弓張月』が果たした役割は大きい。『弓張月 春廼宵栄』はさらにその大衆化を果たした。)

○琉大図書館、沖縄国際大学図書館、早稲田大学図書館、椙山女子大学図書館などに完本(全24編分)があるが、国会図書館には第1~15編分のみ。
 この13冊本(第22~24編欠)も全編揃いではないものの、初版でもあり、貴重書として十分な価値がある。もちろん将来的には欠本分の第22編~24編も入手することが望ましい。
(※ちなみに為朝が琉球へ渡来して活躍する話は第11編~ であり、この13冊本にもふんだんに琉球を舞台にした話が挿絵入りで掲載されている。)

○琉球大学図書館にはこの本の原作と言える曲亭馬琴の『椿説 弓張月』(全28巻=29冊)あり。
 県民の財産という意味では、こちらについても将来的には機会があれば県立図書館に揃えるのが望ましい。

(鶴田大)
しばらくお待ちください