告別式 [山之口貘自筆原稿] (こくべつしき  やまのくちばくじひつげんこう)

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概要・解説文

 原稿は独立した単独原稿群(全16枚)で、全て同種の原稿用紙(「神楽坂下 山田製」・橙色・10×20×2)が用いられています。裏表紙(1)には万年筆で「告別式」という総タイトルが記されています。作品は1953年12月号「心の友」に掲載されました。「心の友」の本文と死後刊行された遺稿集『鮪に鰯』の収録本文は一致します。また、2を除くその他の草稿本文も、詩句の異同はあるものの一篇のモティーフは上記本文とほとんど変りません。しかし2は、他と内容そのものが大きく異なっていて(筆跡の違いにも注目)、タイトルが記入されていないことから考えても、名づけられるようなはっきりとした世界が出来上がっていなかったことを表しています。全文を引用してみましょう。
 〈大阪の兄が栄養失調で死んじまひ/沖縄の父母が老衰で死んじまひ/国分寺の友人が酔っぱらって死んじまひ/鎌倉の若い友人が胃癌で死んじまひ/川崎の知人が脳溢血で死んじまひ/おなじく川崎の知人が老衰で死んじまひ/六郷の先輩がまた脳溢血で死んじまひ/大森の大先輩がまた胃癌で死んじまひ/かうしてばたばた死んじまった/ぼくはどこの告別式にも顔を出さなかった/ある日ぼくの告別式が来たのだが/あの世からは誰も/むかえに来てはくれなかった〉
 父母・兄弟・友人・知人・先輩等―生前、誰の告別式にも顔を出さなかったので、死後あの世から自分を出迎える者がなかった、というのが一篇の趣旨です。死者への不義理と不義理ゆえの悲しみが全体をつつんでいます。しかし、義理を欠いて参列しなかったのではなく、葬式に駆けつけるお金がなかったというのが実際だったのでしょう。背後に〈お金〉にまつわるそうした思いを読み取りたいものです。
『鮪に鰯』収録本文のユニークさは、死後の世界から観察される〈この世〉の様子(焼香をしにきた人々の様子)と死後の世界で直面する〈あの世〉の現実(長男からお盆にごちそうがなかったとすねられる)とが〈お金〉という道具立てによってユーモラスに描かれているところです。〈仏になったものまでも/金のかかることをほしがる〉のでは〈あの世も/この世もない〉とは、まさに親子関係を超えての貧乏詩人の実感なのです。ともあれ、両詩の現場に〈お金〉の問題が横たわっているのは確かでしょう。2ではそれが背後に消され、『鮪に鰯』に収められた本文ではそれが〈あの世〉と〈この世〉を往還しながら前面に押し出されて描かれたのです。
 貘の告別式は昭和38年7月24日、雑司が谷霊園斎場で行われました。多くの友人・知人が集まり、葬儀委員長に金子光晴、友人総代に草野心平と教育学者の周郷博が名を連ね、有志の計らいで厳かで盛大な葬送の儀が執り行われました。この様子を貘はどのように眺めていたのでしょうか。会えるものならその感想を聞いてみたいものです。*文中の数字は画像のデジタル番号です。原稿用紙枚数と数字が一致するわけではありません。詳細は「『山之口貘文庫』草稿細目」を御覧ください。

(松下 博文)
 

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