横笛図 (よこぶえのず)

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概要・解説文

(三宅)皆山(かいざん)画 『横笛図(よこぶえのず)』解説

 

 皆山については大正期に活躍したという以外、詳しく伝わっていません。絵を見る限り、モチーフの単純化や色彩重視を特色とする伝統的な大和絵の画風と、女性の眼の情感描写などに近代的ロマンティシズムがうかがえます。

 画面は『平家物語』に登場する横笛という名の女性を描いています。昔の恋人のもとへ冬の夕暮れの道を急ぐ場面です。ススキ原や細い月の寂しげな描写は物語の雰囲気をよく伝えます。しかし本来、物語ではこの日は(旧暦)「二月十日」で、月は半月よりややふっくらした形であるはずです。か細い月がこの場面にふさわしいと考えた画家が、敢えてこのように描いた可能性もあります。

 
(鶴田大)

詳細解説文

(三宅)皆山(かいざん)画 『横笛図(よこぶえのず)』解説(詳細)

 

 皆山については、大正期の文展(現在の日展)で活躍した(1916年 第12回 文展出品『もの日のつどひ』等)ほかには詳しく伝わっていませんが、絵の様子から大和絵(やまとえ)をよく学んだ画家であることがうかがえます。精密な描写や筆線(ひっせん)を重視する中国画よりも、単純化されたモチーフや色彩を重視する古風な日本的絵画=大和絵的な傾向が強いからです。一方、情感あふれる女性の眼の表情などには、明治以降の近代的なロマンティシズムがあふれていて同時代の空気を存分に吸収した画家でもあることがわかります。

 絵の主題は、絵の裏に書かれた「横笛之絵」という文字から、『平家物語』の登場人物である横笛という女性を描いたものだと見られます。横笛は周囲の反対を押し切って、京都郊外の嵯峨野に住む昔の恋人のもとへ冬の夕暮れの道を急いでいます。ススキ原や細い月の寂しげな描写は物語の雰囲気をよく伝えます。

 しかし注意してみると月の様子がおかしい感じがします。物語本文にはこの日が(旧暦)「二月十日」とあるのです。技量のすぐれた書家が、書いている詩や歌の内容をよく把握しないで書くことは古くからあるようですが、同じように、画家も物語の内容を詳しく知らないまま描くこともあったようです。とはいえ、十日月(半月よりややふくらんだ月)より、か細い月(二十日以降の月のかたち)がこの場面にふさわしいと考えた画家が、敢えて細い月を描いたのかもしれません。

 
(鶴田大)

参考文献・調査ノート

(調査ノート)
・紙本彩色、未装。落款は画面右下に署名「皆山」と朱方印「皆山」がある。
・雅号(ペンネーム)は普段の立場(家柄、職業など)を超えて文化的交流、表現活動をするために名乗るものなので、姓(苗字)と繋げて記すのは本来の意味から外れる。このため、姓はカッコ内にのみ記す。しかし近代以降は、身分制社会も解体し、雅号を使う本人も姓と雅号を続けて表記することが増加しているので適宜、姓・雅号を連続して表記する。
・淡彩と淡墨線を巧みに用いた絵で、残月(二十日月以降)の細い月のみが描かれる画面上方の余白には上端に近づくにつれ淡く薄墨が敷かれ、夕暮れのススキ原で杖を突いて道を急ぐ由緒ありげな女性の情景が描かれている。
・「横笛」は平家物語の登場人物の名前。かつての恋人が出家してお坊さんになってしまい、京都郊外の嵯峨野にいる、ということを聞きつけて夕暮れの道を嵯峨野へ急ぐ横笛を描いている。旧暦の二月十日のこと、と物語では語られている。※十日月にしては細いようで不審。画家が物語をよく読んでいなかったのか。※月の近くにみえる赤茶色の部分は紅葉などではなく画面の汚れ。
・女性は衣装に隠すように長い黒髪を垂らしており、王朝時代の宮廷の女性を思わせる。女性の顔貌は、源氏物語絵巻などのいわゆる「引目鉤鼻」に近い雰囲気の表現で画家の古典画学習の跡が窺えるが、前近代の中間表情ではなく、いかにも近代以降の情感に富む表現になっている。
・ススキや岩の表現は大和絵系の土佐派、琳派など流れをひくもので、水墨的ではなく色彩重視の描写。峻法(勢いのある水墨技法で岩肌を表現する方法。)を用いず、穏やかな輪郭と緑色をたっぷりと使って大和絵の物語の世界にふさわしい表現となっている。
・皆山は『もの日のつどひ』を第12回文部省美術展覧会に出品している。(『多摩のあゆみ130』財団法人 たましん刊)

(鶴田大)
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