漁翁図 (ぎょおうのず)

ヘルプ閉じる

貴重資料ビューワーの操作

操作ボタンの説明

資料のタイプに応じて、表示するボタンの種類が変わります。


ページ切替

資料のページを切り替えます。

先頭のページ/最後のページ、前のページ/次のページ、ページ番号指定
などの基本的なページ切替操作をします。

ページ数表示

ページ切替操作の際に、ビューワー画面の右下に、現在のページ数/総ページ数が表示されます。
一定時間が過ぎると自動的に非表示になります。

ズームボタン 資料画像のズームボタンです。最小サイズ/最大サイズの切替をします。
中央に表示 資料画像をビューワーの中央に再配置します。
スクリーンサイズ切替 資料表示部のサイズを切り替えます。最大サイズの場合、右側の書誌情報エリアが非表示になります。
スケールスライダー マウスドラッグ操作で、資料画像のサイズを無段階調整します。
ページ選択 多数のページを持つ資料に表示されます。一定数ごとにページを切り替えることが出来ます。
翻刻資料を表示 くずし字で書かれた原文を楷書体に置き換えた「翻刻資料」のページを表示します。


マウスの操作について
クリック
  • 資料の前後ページ切替(右クリックは使用しません)
ダブルクリック
  • 単ページ/見開きの表示切替
  • 資料画像サイズの拡大/縮小・段階切替
ドラッグ
  • 資料画像の表示位置移動
  • ダイアログウィンドウの表示位置移動(ダイアログ:このウィンドウなど)
マウスホイール
  • 資料画像サイズの拡大/縮小・段階切替


解説文、その他の詳細情報

解説文などのタブについて
タブの説明
資料によって、解説文の他に詳細な説明を掲載している場合が有ります。表示されるタブの種類は資料ごとに変わります。
資料解説・概要文 貴重資料に関する主な説明・概要文が表示されます。※資料解説の末尾に記載されている氏名は、資料解説の執筆者名です。
詳細解説文 さらに詳しい詳細な説明文、資料に関する情報などが表示されます。
参考文献・調査ノート 資料の解説文作成の際に参考とした資料や、その他の情報が表示されます。


推奨動作環境

  • Internet Explorer 7以上
  • Firefox 3以上
  • Safari 4以上

  • 概要・解説文
  • 参考文献・調査ノート

概要・解説文

(土屋)嶺雪(れいせつ)画・筆『漁翁図(ぎょおうのず)』解説

 

 釣り上げた三尾の魚を束ねる老人、二本の釣竿を持つ少年、魚をみつめる犬一匹。何やら意味ありげな場面ですが、その物語を画面上部の漢文はほとんど説明しません。東洋画の伝統では、絵と添えられた文章(=賛)は「互いに説明する」のではなく、「微妙に響き合う」というのが一般的です。書画(しょが)は実用品というより趣向を凝らした遊びだからです。文章の大意は「世俗の名誉は何とも虚しいものだ。それよりも珊瑚色の海の夕映えの何と美しいことだろう」というものです。釣りは現在でも私たちの日常生活の忙しさと対比的なイメージを持つものです。文章を読んで絵を見直すとやはり場面の詳しい状況は不明ですが、釣果(ちょうか)をめぐる三者のユーモラスで小さな物語が伝わってきます。

 嶺雪は詳細不明の近代の画家で、橋本関雪(かんせつ)に学んだこと等が伝わっています。老人や魚、少年の描写は活き活きとした輪郭線や均一な色面(しきめん)による伝統的な日本画の技法が見られ、犬の立体的で写真に近い描写には西洋絵画の伝統がうかがわれます。画面左下の署名落款(らっかん)から、この絵が大正12年(1923年)夏に和歌山県(和歌山城周辺)で描かれたこと、画家が東京に住んでいることなどが分かります。

 
(鶴田大)

参考文献・調査ノート

(調査ノート)
・紙本彩色。画賛あり。軸装(仮)・一幅。表具は仮(略式)のもの。展示する際には作り直す必要ありか。画面左下の識語と落款部分に「家在東都」「嶺雪」の朱方印(二顆)。画面右上の画賛部分に引首印(関防印)「周龍起雲」あり。合計三顆。画賛と識語・落款は墨色が同じであり書風も同じであるので自画賛であろう。いわゆる「自画自賛」ということになる。(通常は絵(画)のすばらしさに触発されて讃(詩文、和歌・俳句等)を他の人が付するのが建前となっているが自画賛も少なくない。
・識語の末尾に「嶺雪散士(れいせつさんし)筆」とあるのでタイトルは「嶺雪筆 漁翁之図」などが適当か。(「散士」は自分をへりくだって言う呼称。)
・同じく識語に「癸亥(みずのと・い)十二之夏」とあるので1923年(大正12年)夏の作品と分かる。また「造於南紀丹鶴城々壮」とあるので、紀州徳川家(徳川御三家)の居城であった和歌山城辺りでこの絵を描いたことがわかる。
・「國崎(または岡崎)嶺雪」という詳細不明の画家が「画師相撲見立(平安画工視相撲) 文化十年頃」(『増訂 古画備考』巻十、一一八三ページ)と『増訂 古画備考』巻十、一二六二ページ本文に掲載があるが、この頃の癸亥は享和三年であり「十二之夏」には当たらないので、該当しない。
・(土屋)嶺雪(『支那風景図(杭州)』古陶庵 好古HP、アルティスジャパンHP等)は「橋本関雪弟子」とされるが不明。時代も合い、人物の形態、色彩の調子などがほぼ同定できるので同一人物としてよいだろう。さらに同画家の作品調査が必要。
・雅号(ペンネーム)は普段の立場(家柄、職業など)を超えて文化的交流、表現活動をするために名乗るものなので、姓(苗字)と繋げて記すのは本来の意味から外れる。このため、姓はカッコ内にのみ記す。
・白い犬を描いた際の水墨的な彩色技法や童子の顔の表現の特色などから円山四条派の流れを汲むものがみられる。犬の描写は博物画(江戸時代後半以降、西欧で発達した図鑑用の写実画。)の影響を強く受けたものとみられるが、人物、魚の表現は伝統的な東洋の画法を受け継いだものとなっている。一枚の絵で描く対象により画法を使い分けているのは伝統と革新のせめぎ合いを露わにしていて興味深い。着彩もしっかりしており、手軽な(植物、または化学)染料ではなく本格的な岩絵具(顔料)が使用されているとみられる。
・三尾の魚(釣果)と、人間二人に犬一匹。数字の符合が寓話性、物語性を感じさせる。また、竿が二本あるので釣り人は老人と童子の二人と考えられるが、さて二人のうち、どちらが何尾を釣ったのか、自然と興味が湧き、二人の表情を見入ってしまう。あるいは故事(古典に出てくる有名なエピソード)を描いているか、故事を念頭に描いているかも知れない。(詩の内容と照らし合わせるとその辺りが明らかになる。)
・画賛は「不願朝云々」の六行九十三文字。釣り、天地、海に関する内容。
「不願朝盤廟子。願暮登楼吾心。何凋落萬里。「一虚舟日出江濱。釣日復眠巌頭。吾心無楊「束天地水横流釣竿。難換朝天笏一棹、寧「軽萬戸候。争與市人不追利。烟波長伴浩「蕩鴎。得酔来臥斉歌一曲。向■州風晴雲■「人不見珊瑚紅、映海宮秋。」→全体として世俗のあくせくした暮らしを虚しいものと論じつつ、美しい海の夕景を賛美し自然の大きさを賛美する内容となっている。絵の内容そのものを直接説明する内容にはなっていない。
(識語)「歳次癸亥十二之夏「嶺雪散士造於南紀「丹鶴城々壮 □ □(朱方印 二顆)」
 
(鶴田大)
しばらくお待ちください