山之口貘色紙 (やまのくちばくしきし)

ヘルプ閉じる

貴重資料ビューワーの操作

操作ボタンの説明

資料のタイプに応じて、表示するボタンの種類が変わります。


ページ切替

資料のページを切り替えます。

先頭のページ/最後のページ、前のページ/次のページ、ページ番号指定
などの基本的なページ切替操作をします。

ページ数表示

ページ切替操作の際に、ビューワー画面の右下に、現在のページ数/総ページ数が表示されます。
一定時間が過ぎると自動的に非表示になります。

ズームボタン 資料画像のズームボタンです。最小サイズ/最大サイズの切替をします。
中央に表示 資料画像をビューワーの中央に再配置します。
スクリーンサイズ切替 資料表示部のサイズを切り替えます。最大サイズの場合、右側の書誌情報エリアが非表示になります。
スケールスライダー マウスドラッグ操作で、資料画像のサイズを無段階調整します。
ページ選択 多数のページを持つ資料に表示されます。一定数ごとにページを切り替えることが出来ます。
翻刻資料を表示 くずし字で書かれた原文を楷書体に置き換えた「翻刻資料」のページを表示します。


マウスの操作について
クリック
  • 資料の前後ページ切替(右クリックは使用しません)
ダブルクリック
  • 単ページ/見開きの表示切替
  • 資料画像サイズの拡大/縮小・段階切替
ドラッグ
  • 資料画像の表示位置移動
  • ダイアログウィンドウの表示位置移動(ダイアログ:このウィンドウなど)
マウスホイール
  • 資料画像サイズの拡大/縮小・段階切替


解説文、その他の詳細情報

解説文などのタブについて
タブの説明
資料によって、解説文の他に詳細な説明を掲載している場合が有ります。表示されるタブの種類は資料ごとに変わります。
資料解説・概要文 貴重資料に関する主な説明・概要文が表示されます。※資料解説の末尾に記載されている氏名は、資料解説の執筆者名です。
詳細解説文 さらに詳しい詳細な説明文、資料に関する情報などが表示されます。
参考文献・調査ノート 資料の解説文作成の際に参考とした資料や、その他の情報が表示されます。


推奨動作環境

  • Internet Explorer 7以上
  • Firefox 3以上
  • Safari 4以上

  • 概要・解説文

概要・解説文

色紙。毛筆。「生れるんだから/生きたり/生きるんだから/産んだり〉。「マンネリズムの原因」(『思辨の苑』)の一節。
 〈子の親らが/産むならちゃんと産むつもりで/産むぞ といふやうに一言の意志を伝へる仕掛の機械/親の子らが/生れるのが嫌なら/嫌です といふやうに一言の意見を伝へる仕掛の機械/そんな機械が地球の上には欠けてゐる/うちみたところ/飛行機やマルキシズムの配置のあるあたりたしかに華やかではあるんだが/人類くさい文化なのである/遠慮のないところ/交接が 親子の間にものを言はせる仕掛になつてはゐないんだから/地球の上がマンネリズムである/それみろ/生れるんだから生きたり/生きるんだから産んだり〉。
 初出は1934年9月号「日本歌人」。初出誌のタイトルは「人類」。〈マンネリズム〉とは、表現や個性が類型化してきて新鮮さや面白味に欠ける状態のことを言います。その〈原因〉が〈人類くさい文化〉にあると貘は指摘します。では、貘のいう〈人類くさい文化〉とはどのような〈文化〉でしょうか。結論から先にいえば「観念的で頭でっかちで知性に依存している文化」ということになるでしょう。評論「岩野泡鳴論」(『現代日本詩人各論』所収)に貘の主張は明らかです。
 この評論の面白さは残された作品から詩人泡鳴を論じるのではなく、未亡人が語った戸締まりのエピソードを手がかりに泡鳴を論じたところにあります。泡鳴には、戸に錠をかけたあと戸と錠を細いひもでぐるぐる巻きにして戸締まる癖があったそうです。用心に用心を重ねるこうした泡鳴の戸締まりに貘は泡鳴の〈極度の主観〉を発見し、そこに〈身を以て〉戸締まろうとする肉体化された泡鳴の思想性を見ようとしています。つまり貘は、泡鳴の過剰とも思えるぐるぐる巻きは、戸締まりの方法としては野蛮で文化的センスに欠けるものの、彼の本能に基づいた自己中心的な肉体主義の思想的実践であって、他者の目を気にせぬこうした〈主観的〉な行動にこそ〈自然発生的な美〉が備わっていると評価します。
 色紙の詩句は頭(観念)で考えるばかりで肉体(主観)で考えようとしない社会の在りように強烈な批判を加えた部分です。貘は、〈産む〉という主観的な〈意志〉や〈嫌だ〉という主観的な〈意見〉をはっきり主張する「人類」の出現を望んでいます。知性(飛行機、マルキシズム)に迎合するあまり、〈産む〉〈生きる〉という動物的本能を見失ってしまった人類への鋭い警鐘がこの一篇の意図するところです。「鼻のある結論」「思辨」「夢を見る神」も同系統の作品です。あわせてお読み下さい。

(松下 博文)

しばらくお待ちください